調律BLOG Tuning Blog

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初めまして、私はピアノ専業奈良株式会社にてピアノ調律師として勤めております奥田達哉です。

調律師としてはまだまだ未熟な私ですが、技術を上げるべく1日1日を大切に努力を怠らず日々精進している今日この頃です。

技術を上げるにはどうしたらいいのか、やはりそれはたくさんのピアノに触れ、たくさんの経験値を得る事で技術は向上するのではないでしょうか。

これからたくさん経験し、経験値を獲得してレベルアップをしていきたいと思っております。

グランドピアノとアップライトピアノの違い 前編

今回は、初心に帰ってグランドピアノとアップライトピアノの違いについて書いていこうと思います。

(これからはグランドピアノを「GP」、アップライトピアノを「UP」と表記します)

おそらく、今まで生きてきた中で一度はどちらか目にしたことがあるのではないかと思われるGPもしくはUP。

ではみなさん、GPとUPの違い、ぱっと思いつくのはいくつでしょうか?

やはり、一番に思いつくのは、見た目かな、と思います。

①外装

まずはこちらがNo演奏形態です

GP                     UP

   

ちなみに、こちらが演奏形態です。

GP             UP

 

どうですか、見た目からまったくちがうでしょう。(同じなのは色だけ?)

GPは横に平べったく、UPは縦に平べったいといった感じでしょうか。

ピアノ教室や発表会、学校の音楽教室や体育館に置かれているのが大体がGP,ご家庭や、今はやりのストリートピアノで設置されているのが大体がUPではないでしょうか。

GPは奥行きがあり、鍵盤側からみて右側がへこんでいる形状をしています。(画像では、わかりずらいかな?)

この曲線状の見た目で鳥の翼に似ていることから、ドイツでは翼を意味する「フリューゲル」、フランスではしっぽのあるピアノを意味する「ピアノ・ア・クー」と呼ばれています。ちなみに、グランドピアノの「グランド(Grand)」は英語で「壮大な、豪華な」という意味があります。

UPは四角い箱が縦に立っているような見た目をしています。(前面の飛び出ているところが鍵盤になります)

この見た目から多くの国々ではイタリア語で小さなピアノを意味する「ピアニーノ」と呼ばれています。英語では直立ピアノを意味する「アップライトピアノ(Upright Piano)」もしくは縦型(垂直)ピアノを意味する「バーティカルピアノ」と呼ばれています。

といった感じでしょうか。

では次に、中を見ていきましょう。

②内装

次に、ピアノの中の違いについて話していこうと思います。

外装は全くと言っていいほど違うのですが、実は中身は形状は違えど作りはほとんど同じです。

ではまずこちらをご覧ください。

コチラがGP↓              こちらがUP↓

 

 

どうでしょうか、ぱっと見は全く違う形をしていますね。でも違うのは見た目だけ。使われているパーツはさほど変わりません(GPにはあるけどUPにはないパーツもあります、その逆もしかり)

ではまず、ピアノの命の一つと言われている弦について

◎弦

ピアノには高炭素鋼で作られている弦(ミュージックワイヤー:芯線)が約230本 張られており、この弦をハンマーで打弦することにより音が鳴るという仕組みになっています。

低音には1本、または2本の巻線(芯線に電気軟銅でできた銅線が巻いてる弦)で1つの音が作られており、中・高音では3本で1つの音が作られています。

※イメージ

低音域                中・高音域

 

GPとUPにはともに弦が張られているのですが、では一体何が違うのか?

それは、弦が張られている方向です。

GPは地面と水平に張られており、UPは地面とは垂直に弦が張られています、

※イメージ

GP                   UP

 

では、なぜこのように張られているのか。答えは簡単。ピアノがその形をしているから(なんて)。

ピアノの弦の歴史についてはまた今度!

 

前編はここまで

内装の続きは後半へ続く

  To Be Continued

 

 

 

 

 

 

世界三大ピアノブランド

みなさん、おはよう、こんにちは、そしてこんばんは!

以前世界三大コンクールのことについてお話をしました。

実はピアノにも世界三大が存在するのを皆さんはご存じでしょうか?

それは、世界三大ピアノブランドです。

この世界にはたくさんのピアノブランドが存在しています。

日本なら「YAMAHA」や「KAWAI」などがありますよね。世界にも数えきれないほどのピアノメーカーが存在します。

その中でも歴史や由緒、さらに著名な音楽家の絶大な信頼や評価を得てきた最高峰ブランドが、世界三大ピアノブランドに選ばれるのです。

早速ですが、世界三大ピアノブランドを言っていきましょう。

(1)Steinway&Sons(スタインウェイ&サンズ)

(2)Bösendorfer(ベーゼンドルファー)

(3)Bechstein(ベヒシュタイン)

この3つが世界三大ピアノブランドと呼ばれています。

皆さん、この中でどれか1つは聞いたことのある名前はあるのではないでしょうか。

では、まず各メーカーの紹介をしていきましょう。

(1)Steinway&Sons(スタインウェイ&サンズ)

1853年にアメリカのニューヨークにてドイツ人ピアノ製作者「ハインリッヒ・エンゲルハルト・シュタインヴェーク」(のちにヘンリー・E・スタインウェイに改名)によって創業されました。

「ピアノの王様」と呼ばれ、世界ピアノメーカーランキングでは長年第1位を獲得しています。

アメリカ:ニューヨークとドイツ:ハンブルクの2か所に工場があり、ニューヨーク工場で作られたピアノはアメリカ州に、ハンブルク工場で作られたピアノはそのほかの国と地域に運ばれます。

スタインウェイはそのほかにも第2ブランドの「Boston(ボストン)」や第3ブランドの「Essex Piano(エセックスピアノ)」などの別ブランドも持っています。

※余談

・Boston(ボストン):スタインウェイの第2ブランドで設計や出荷調整はスタインウェイが行っており、製造過程ではカワイが担っており、日本で販売されているボストンは国内で生産されていますが、逆輸入という形になる。

スタインウェイより低価格で販売をしている。

・Essex Piano(エセックスピアノ):スタインウェイの第3ブランドで設計はスタインウェイが行っており、グランドピアノは韓国(Young Chang(ヨン・チャン)社)で、EGP-155シリーズは中国(Pearl River(パールリバー)社)が製造を行っている。

ボストンピアノよりも低価格で販売をしており、日本では2007年以降に販売が開始されている。

ブランドのほかにもスタインウェイはピアノの特許をいくつも持っています。

例えば、1859年「二十巻線」、1874年「ソス・テヌートペダル」の特許を取っています。

世界三大コンクールの「ショパン国際ピアノコンクール」、「チャイコフスキー国際コンクール」「エリザベート王妃国際音楽コンクール」でもスタインウェイのピアノの最高峰と呼ばれるフルコンサートグランドピアノ「D-274」が使用されています。

誰もが知っているピアノメーカー「スタインウェイ」ですが、たまに勘違いをしている人たちがいます。

いいですか、みなさん「スタインウェイ」ですよ「スタンウェイ」ではないですよ!←ここ注意です!

以上です。

では次に、

(2)Bösendorfer(ベーゼンドルファー)

1828年、音楽の都オーストリアのウィーンにてフォルテピアノ製作家「イグナーツ・ベーゼンドルファー」にて創業されました。

ベーゼンドルファーといえば、鍵盤が97鍵ある「モデル290インペリアル」ですね!通常のピアノは全鍵88keyで最低音が1keyの白鍵のラで終わっていますが、インペリアルはさらに黒鍵で9鍵追加されています。

実はこの増やされた黒鍵の9鍵は演奏の時に打鍵するように作られたわけではないのですよ。

※余談

「モデル290インペリアル」なぜ低音に9鍵増やしたのか?

昔々あるところに、イタリア出身でドイツを中心に活躍していたピアニスト「フェルッチョ・ブゾーニ」さんがいました。

ある日、ブゾーニさんがJ.S.バッハのオルガン曲を編曲をしたときに、「低音部に今のピアノでは出せない音があるじゃないか」という悩みがありました。いくらピアノで演奏しても思い通りの音が出ないブゾーニさんは「音が出なければ、新しく作ってしまったらいいじゃないか」と思い立ちました。

あくる日、ブゾーニさんはイグナーツ・ベーゼンドルファーの息子:ルードヴィッヒ・ベーゼンドルファーに相談することにしました。

「この、低音がどうしても出せないんだが、どうしたらいいんだ?」

すると

「ではこうはどうでしょうか。低音に弦を増やして響きをよくするというのは、弦が増えるということはその分スペースが広くなり響板も大きくなります。響板が大きくなれば、中・低音側の響きもより豊かなものになるでしょう。」

「なるほど、たしかにそうだな、よし、作ってくれ!」

こうして完成したのが、「モデル290インペリアル」です。

ブゾーニさんは、こうしてJ.S.バッハのオルガン曲の編曲を完成させることが出来ました。

ちゃんちゃん

と、こんな感じでモデル290インペリアルは完成し、低音側に鍵盤が増えました。

ですが、一部のピアニストからは、「中・低音の響きは素晴らしいが、高音も同じバランスで響きをよくしないといけないので、弾くのが難しいピアノだ」とか「間違えて、弾いてしまったではないか」など言われたそうです。

間違えて弾いてしまう問題は、以前では増やした鍵盤部分に小さな蓋をつけることで、誤打鍵を防止していましたが、現在は、増やした鍵盤部分すべてを黒くすることで誤打鍵を防止するようになりました。             以上

では、ベーゼンドルファーについてお話を戻しましょう。

・ベーゼンドルファーの歴史

1828年に創設されたベーゼンドルファーですが、第二次世界大戦後の一時期、経営難になりアメリカの企業体に移ってしまいます。ですが2002年にオーストリアのオーストリア労働経済郵便銀行が経営権を取得し、オーストリアに復活しました、かに思えましたが、2007年に再び経営難に陥ってしまいます。そして2008年以前より交流があったヤマハの子会社として吸収されました。

ベーゼンドルファーの音は「ウィンナー・トーン」と呼ばれ、打鍵後の持続音が長く、柔らかく、温かい音色が特徴になっています。

オーストリアでベーゼンドルファーは、オーストリアで開催されている「ベートーヴェン国際ピアノコンクール」では使用ピアノがベーゼンドルファーのみと限定されているほど、愛されているピアノメーカーになります。

以上です。

そして、

(3)Bechstein(ベヒシュタイン)

1853年にドイツのベルリンにて「カール・ベヒシュタイン」により操業されました。

「ピアノのストラディバリウス」と呼ばれるベヒシュタイン、

あのフランツ・リストやクロード・ドビュッシーなどにも愛されていました。

・ベヒシュタインの歴史

1853年に創業されたベヒシュタイン、創業当時は順調に世界名前が広まっていき、有名な作曲家などにも愛されるピアノになりました。1900年カールが亡くなり、エドウィンを含む3人の息子が後を継ぎベヒシュタインを支えていきました。経営は順調でしたが、ある問題が起きました。それは、「相続争い」である。争いは事業にまで影響してしまい、1929年の世界恐慌にて大打撃を受けてしまいます。ドイツがナチス・ドイツになると、「第三帝国のピアノ」と称されるようになったベヒシュタインこれは、エドウィンとその妻がナチ党の初期の支援メンバーだったからである。

ナチス・ドイツになりユダヤ人が迫害される世の中になった時代、ベヒシュタインの顧客のほとんどがユダヤ人だったため、ほとんどの利益を失ってしまいました。さらに、第二次世界大戦で工場が破壊されてしまい、設計図や重要な資料、ベテラン技術者などのほとんどを失ってしまいました。戦後、ナチス協力者として連合国軍の監視下にあり、ベルリンの壁によるドイツの東西分断により技術者の獲得も困難になってしまいました。

1962年、アメリカのピアノメーカー「ボールドウィン社」の傘下に入ったベヒシュタインですが、1986年にドイツのピアノ製造者カール・シュルツェが経営権を買い取り、ようやくドイツ人の元に経営権が戻されました。その後資本増強を積極的に行い、1997年に株式会社(C.Bechstein AG)となり、資本増強と東西ドイツ統一と共に、「ツィンマーマン(ドイツのピアノメーカー)」と「ホフマン(ドイツノピアノメーカー)」のピアノブランドを傘下に収め、ベヒシュタイングループが作られ、現在の姿にあります。            以上

グランドピアノもアップライトピアノも双方ともに人気がよく、特にアップライトピアノはカール自身が製造を始めたこともあり、現在でも国際的にトップクラスの評価を得ており、

「スタインウェイのグランドピアノ、ベヒシュタインのアップライトピアノ」と言われています。

上記の3つが世界三大ピアノブランドと呼ばれるメーカーになります。

今回は、世界三大ピアノブランドのお話をさせてもらいました。

今は世界中で有名なメーカーたち、ですが歴史を遡っていくと度重なる苦労の積み重ねで今に至っていると思うと、そのピアノがどれだけ素晴らしい技術が詰まっているかがわかりますね!

今回のまとめ

日本のピアノもいいですよね!

 

以上で終わりです。

ありがとうございました。

世界三大コンクール

みなさんは、世界三大コンクールというのをご存じだろうか?

(1)ショパン国際ピアノコンクール

(2)チャイコフスキー国際コンクール

(3)エリザベート王妃国際音楽コンクール

上記の3つを合わせて世界三大音楽コンクールと呼ばれます(※2022年にロシア、ウクライナ侵攻を受けて除名されてしまいます)

世界的にも最も歴史があり、権威のある国際クラシック音楽コンクールです。

演奏者にとってこの中の1つでも入賞経験があれば誇らしげであろう。(実際この3つのコンクール全て入賞したものが1人おられる)

ではまず、(1)ショパン国際ピアノコンクールから説明していこう

・ショパン国際ピアノコンクール

1927年より5年に1度、ポーランドの首都ワルシャワのポーランド国立ワルシャワ・フィルハーモニーホールにてショパンの命日10月17日の前後3週間に開催されるピアノの国際コンクールでは最高峰のグレードである。

ポーランド・ワルシャワにて生まれた「ピアノの詩人:フレデリック・フランソワ・ショパン」にちなんだコンクールで、部門ではピアノのみで課題曲がすべてショパンの作品になっています。

日本人も多数参加しており、今までの日本人参加者の最高位が第8回(1970年)の年に、内田光子さんが第2位に入賞している。最近では第18回(2021年)の年に、反田恭平さんが第2位に入賞するという快挙がある。

使用されるピアノはすべてフルコンサートグランドピアノ

・ハンブルク製スタインウェイ&サンズ D-274(第1回から使用される)

・ヤマハ CFX(第1回は「CF3」が採用され、第16回で「CFX」が採用される)

・カワイ SK-EX(第11回で「EX」が採用され、第17回で「SK-EX」に継続採用される)

・ファツィオリ F278(第16回から採用される)

※以前はベーゼンドルファーなどの有名メーカーも採用されていたが、のちにヤマハ、カワイ、ファツィオリが採用され公式ピアノから外されてしまいました。

次に(2)チャイコフスキー国際コンクールについて述べよう

・チャイコフスキー国際コンクール

ロシア連邦が1958年から4年に1度開催される国際コンクールである。

ロシア帝国時代に生まれた、クラシック音楽作曲家「ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー」の名に因んだ国際音楽コンクールとなる。

(※余談ですが、チャイコフスキーというのは祖父の代から改名した名前になり改名前はチャイカという姓でした。)

(※さらに余談ですが、チャイカというのは、伝統的なウクライナの名字で、カモメを意味します)

部門はピアノ、ヴァイオリン、チェロ、声楽、木管楽器、金管楽器の6部門からなる国際コンクールで、第14回からはモスクワ(ピアノ、チェロ)とサンクトペテルブルグ(ヴァイオリン、声楽)の2都市で各部門に分かれて開催されています。

ですが、残念ながら2022年4月に、ロシアのウクライナ侵攻を受けてチャイコフスキー国際コンクールは国際音楽コンクール世界連盟から除名されてしまいます。

このコンクールにも日本人は多数参加しており、ピアノ部門では第7回(1982年)の年に、小山実稚恵さんが第3位という快挙を成し遂げている。その後、第12回(2002年)の年に、上原彩子さんが第1位になり、世界的有名ピアニストの1人に加わった。

ではつぎに、(3)エリザベート王妃国際音楽コンクールについて話していこう。

・エリザベート王妃国際音楽コンクール

1951年にベルギーの元王妃エリザベートの名を冠して開催されている国際音楽コンクールになります。

ベルギーの首都ブリュッセルにて毎年開催されています。

部門では、ピアノ、ヴァイオリン、チェロ、声楽の4部門からなり、今年は、ピアノ部門で来年はヴァイオリン部門のように4年に1度各部門が当たるように開催されています。

世界三大コンクールの中で最も歴史が古く、ほかの2つのコンクールみたいに、開催国出身の音楽家に因んでいるわけではない。

実はこのコンクールには前身があり、ベルギー出身のヴァイオリンの巨匠「ウジェーヌ・イザイ」を讃えるために作られた「イザイ国際コンクール」となります。

このコンクールにも日本人は多数参加しており,1968年に開催されたピアノ部門で後の2年後にショパン国際ピアノコンクールで第2位の快挙を成し遂げる内田光子さんが第10位という素晴らしい成績を残されています。

そして1987年の開催されたピアノ部門では、若林顕さんが第2位、仲道郁代さんが第5位という日本人2人が入賞という快挙を成し遂げています。

最近では2021年開催のピアノ部門にて、務川慧悟さんが第3位

阪田知樹さんが第4位という高成績で表彰されました。なんとこの2人現在(令和4年現在)まだ20代という若さでこの成績を収めています。

以上が世界三大音楽コンクールになります。

上記の3つは世界で開かれますが、実は日本でもピアノの国際コンクールが開かれているのを皆さんはご存じでしょうか?

その名も「浜松国際ピアノコンクール」です。

1991年に静岡県浜松市にて3年に1度開かれるピアノの国際コンクールになります。

開催会場はの第1回は浜松市民会館(現:浜松市教育文化会館)で第2回から今に至るまでアクトシティ浜松で開催されています。

残念ながら、第10回まで休むことなく開催されてきた大会ですが、2021年の第11回目は新型コロナの流行の影響でやむなく中止となってしまいました。その代わりに「浜松国際ピアノフェスティバル」が開催されました。

※浜松国際ピアノフェスティバルとは浜松国際ピアノコンクールにて素晴らしい活躍をし、世界でも活躍している方たちが浜松に集結し、演奏が聴けるという夢のフェスティバルである。

「蜂蜜と遠雷」という小説のモデルにもなっているコンクールで、2019年には映画化までされました。

この静岡県浜松市というのは、世界的ピアノメーカー「YAMAHA」「KAWAI」の本社兼工場があり、その他にも多数のピアノメーカーが浜松市に存在している。そして、なんといっても浜松駅近くにある浜松市楽器博物館である。

世界中に存在している楽器から、なんと現存最古のクリストフォリピアノの復元品が見れるのです。

行ってみる価値は100%ありの所なので浜松に行かれたさいは、ぜひ寄ってみてはいかがでしょう。

そしてもう一つ、行ってみても後悔しないところがあります。

それは、YAMAHA INNOVATION ROAD(ヤマハ イノベーソンロード)という企業ミュージアムです。ここは、予約が必要ですが、予約をしても行く価値は大有りの所です。

この場所の見どころはあのショパン国際ピアノコンクールでも使われているYAMAHAのフルコン「CFX」が自由に演奏が可能ということです。この他にも、あの20世紀最高のピアニストと謳われたロシアの巨匠「スヴァトスラフ・リヒテル」が演奏し、直筆のサイン入りの「CFⅢS」も展示されています。

たくさんのグランドピアノやアップライトピアノ、電子ピアノ、ハイブリットピアノが展示され、そして弾き放題というピアノが大好きな方にはまさに天国のような空間です。

ぜひ、行ってみてください。後悔はいたしません。

以上で、世界三大コンクールについてお話をさせてもらいました。

 

長文読みお疲れさまでした。みなさん、目がチカチカしていませんか。

長文を書いた私が言うのもなんですが、あまり、モニターを長時間凝視してはいけません。)適度に休憩を取りながらなら大丈夫ですが!!)

では、モニターを長時間見続ける作業を行うとどうなるのか?

「VDT症候群」になる可能性があります。

では、「VDT症候群」とはなにか?

まず、VDTとはV=Visual D=Display T=Terminals(ビジュアル・ディスプレイ・ターミナル)の略になります。

このVDTとはパソコンやテレビのモニターをさし、モニターを見ながら作業することをVDT作業といいます。

長時間の作業が原因で起こる症状を「VDT症候群」になります。別名:パソコンのモニターなどのIT機器を使用することから「IT眼症」「テクノストレス眼症」とも呼ばれます。

では、どういった症状が起こるのか?・・・・・・っと、また関係のない話をしてしまいました。申し訳ない。

 

皆さん、忘れてないですよね?今回は世界三大コンクールのお話でしたよ!(;゚Д゚)

では、あらためて、長文読みお疲れさまでした。

では、またお会いしましょう!!

 

 

ピアノと多湿について

以前、「ピアノと乾燥」という題で書いたのですが、今回は「ピアノと多湿」について書いていこうと思います。

今年の梅雨はあっという間に終わってしまったと思ったのもつかの間、梅雨後の急な豪雨、降り続ける雨などで大変な思いをされた方たちがおられるわけですが、この梅雨時期にピアノにとって気を付けなければいけないのが多湿になります。

多湿はいやですよねぇ。ジメジメして梅雨の時期だと外に洗濯が干せないから部屋干し、でも生乾きからの生乾き臭が部屋中にというかた、いらっしゃるのではないでしょうか?

このイヤなにおいの原因は「モラクセラ真正細菌」という菌が布の表面に発生してしまい、「4メチル3ヘキセン酸」という酸を出すことによりあの独特なにおいが発せられるのです。

この菌は熱に弱いのです。なので直射日光を当てると死滅するのですが、梅雨時期などはそのような日光、期待などできないですよね。

かといって、生乾きのまま着るのも・・・と思ってしまいます。

では、どうしたらいいのか?、とにかく、熱を加えるのです。

ではこれから、このにおいを抑える方法を述べていきましょう・・・って、なんの話だ!!(すいません、ピアノに関係のないお話をダラダラトと。)

さて、お話を戻しまして。

そんな多湿(空気中の水分量が平均値以上にまで上昇すること)はピアノにとって天敵なのです。

アンパンマン=バイキンマン、孫悟空=フリーザのように、決して相いれない双方になるのです。

そんなピアノと多湿、多湿がどれだけピアノにとって良くないのかをこれからご説明いたしましょう。

よくない要因その1.「音が鳴らなくなる」

よくない要因その2.「次の打鍵が出来ない」

よくない要因その3.「錆び」

この3つが大きな症状になります。

ではまず、その1「音が鳴らなくなる」

鍵盤を押すと、鍵盤奥がアクションを持ち上げハンマーを動かし弦を叩き音が鳴る、これがこれがピアノの動きの簡単な説明になります。

この時に最も重要なものがピアノの心臓たる「アクション」です。

ピアノのアクション、200ものパーツからなるアクションですが、1つ1つのパーツはセンターピンという真鍮でできたピンで接続されており、その周りをブッシングクロスという名前のクロスがピンを覆うように入っています。

       拡大したのがこちら↓ 

   

 

このクロスが水分を吸収してしまい、クロスが膨らんでしまいます。すると中のセンターピンを締め付けてしまい固まってしまいます。関節部分が固まってしまうということは、その先についているパーツは動かなくなるということなので、結果その先についているハンマーが弦を叩くために前進したはいいが、元の位置に戻ることが出来ず、同じ鍵盤を打鍵しても動くハンマーがないので音が鳴らないという状態になります。

「じゃあ、クロスをなくせばいいのでは?」という意見があるとおもいます。

ピアノにはクロスのほかにも、フェルトやスキンが使われています。

※・クロス:羊毛を繊維にして織ったもの

・フェルト:羊毛を縮絨(しゅくじゅう:水分を含ませ湿らせたり、熱や圧力をかけて毛同士を絡め合わせて、フェルト上にする工程)し固めたもの

・スキン:天然の鹿革や合成皮革のこと

Q.この中で、なぜクロスが使われているのか?

A.答えはクロスの特徴にあります。

クロスの特徴は3つ (1)厚さが均一 (2)耐摩耗性に優れている (3)フェルトより安定している

この3つの中で(2)耐摩耗性に優れている が重要になってきます。パーツとパーツの関節部分に使用されるため摩擦をなるべく少なくしたい、という願いから耐摩耗性に優れているクロスが使用されています。なので、このセンターピン付近で使用されているほかにも、鍵盤のフロントとバランスの部分でもピンと鍵盤との摩擦を減らすためにフロントブッシングクロスとバランスブッシングクロスが張られています。

※フロントブッシングクロスとバランスブッシングクロスについては、よくない要因その2.「次の打鍵が出来ない」で説明しています

※ちなみにフェルトの特徴は、(1)弾力に富む(衝撃の吸収に使用)(2)雑音防止に優れている、スキンの特徴は(1)適度に摩擦がある(部品同士が接する際に、摩擦が必要な場所に使用)、です。

ちなみに、センターピンはハンマー以外のところにもたくさん使われており、この1つでも動きが鈍くなると、2度目の打鍵で音が出なくなったりします。

矢印のところにセンターピンが入っています(赤いのがクロスです)・・・手書きで申し訳ないですが。

 

次に、よくない要因その2.「次の打鍵が出来ない」

多湿の要因で1番聞くのが、鍵盤が上がってこないという声になります。

ではなぜ、鍵盤が上がってこないのか。

実は、この答えはもう言ってしまってるのです。

そう、答えはまたしてもクロスが原因です。

その1でも話したクロス、このクロスが鍵盤にも使われているのです。(イラストですいません)

拡大したものがコチラ↓

鍵盤はピアノ本体に刺さっているキーピンというピンに刺さっています。このピンが刺さる鍵盤の所にクロスが張ってあり、多湿などでクロスが水分を吸っちゃうと、クロスが膨らみ、ピンをがっちりと挟んでしまいます。通常はクロスとピントの隙間が約1~2mmの隙間があればいいのですが、隙間がなくなると、鍵盤を打鍵しても上がってこないという症状が起こってしまうのです。

本体の図(手書きですいません)↓

では、鍵盤が上がらなくなってしまったときどうしたらいいのか?

答えは簡単。「調律師を呼びましょう」。

この鍵盤が上がらないのを治すには、まず、ピアノの外装を外さなければいけません。そして、外装を外し終え鍵盤を1つ1つしっかりと動く隙間が作られているかを白鍵黒鍵88keyすべて確認します。そして、異常があれば1本1本調整を行いスムーズに鍵盤が動くようします。

この段階で、まず、自分で外装を外すという行為はあまりお勧めいたしません。お勧めしない要因としまして、まず1つ1つパーツは思った以上に重たいです、なのでもし落としてしまい傷がついてしまった時、その傷を治すのにお金がかかってしまい、「調律師を呼んで鍵盤、直してもらえばよかった(;´Д`)・・・」と後悔をしてほしくはありません。なので、おとなしく調律師の方を呼びましょう。

もし、外装をうまいこと外せたと喜んでいるそこのあなた、「フッフッフ、あなたができるのはそこまでです。」なぜなら、鍵盤の調整を行うには、それ専用の工具が必要になるからです。

ですがこのご時世、メルカリなどのフリマアプリなどで簡単に工具が手に入ってしまう世の中です。なので、もし手に入れてしまったらまず調律師を呼びましょう。そして、調律師の方と一緒に可能かどうかまず聞いてみて、可能ならば調整を行ってみてはいかがでしょうか、それもまた良い経験だと思います。自分で直したピアノよりいっそ親しみを込めて演奏できるかもしれません。(あくまでも自己責任で!!!)

調整方法は、クロスを圧縮して隙間を作ってあげればいい、ただそれだけです。この「ただそれだけ」の言葉の中に調律師の方は日々たくさん経験して得られた知識をもとに皆さんのピアノと向き合っています・・・という感情が込められています。(実際は非常に難しい作業になります。圧縮しすぎると隙間が大きくなり鍵盤を押すたびに雑音が出てしまいます、この圧縮した力を88keyすべて同じ隙間になるように込めなければいけません)

よくない要因その3.「錆び」

ピアノは木材のほかにもたくさんの金属が使われています。皆さんが一番目にする金属は、屋根の蝶番と鍵盤蓋の蝶番、譜面台の蝶番ではないでしょうか。

新品のピアノの蝶番には通常さび止めの液体が塗られていますが、この液体も日々劣化していきます。

さらに、蝶番のほかにも、ピアノの3つの心臓「アクション」「鍵盤」「弦」、このなかの「弦」これは高炭素鋼という純度が高い鋼鉄を使用し作られています。

ちなみになのですが、ピアノの鍵盤は88keyなので、張られている弦も88本だと思っている人はいるでしょうか。

実は、低音部で1~2本、中・高音部で3本の弦が1音に対して張られています。なので88keyすべての弦の本数は、ピアノにもよるのですが約220~230本の弦が張られています。1本あたり約70~90kgの張力があり総張力は18~20tにも及びます(象で1頭平均3~5tだとか、象にもよりますが)

この弦が錆びると、どうなるか。答えは簡単。切れやすくなる、というわけです。

弾いているときに、強打弦をしたらいきなり「バァン!」という大きな音がピアノ内部から聞こえてきて確認すれば、弦が切れているということがよくあります。

また、皆さんが寝静まった夜、誰も弾いていたいのにいきなり弦が張力に耐えられず切れてしまい、驚いたという声も多数お聞きします。

ちなみに、上記でもご説明した鍵盤の下にある2つのキーピン、これも金属でできているのでこの部分が錆びてしまうと、クロスと摩擦が起き鍵盤が上がらないといった状態にもなるので、ご注意ください。(もしこの軽い錆びならば大丈夫ですが、ピンを触ったときに激しくザラついている状態で弾き続けていると、クロスに摩擦で穴が開いてしまい、雑音が出てしまいます。さらにこの場合クロスは張替となるため、痛い出費になることも)

そうならないためにも日々、しっかりとメンテナンスや状態の管理などに気をつけていればそう起こることはないのでご安心を。!!

今回の総まとめ

・人間もピアノも適度な保湿を!

 

今回の内容は以上になります。

湿度の管理、そして調律師の重要性がわかってもらえたらうれしいです。

では、また!

 

 

 

 

 

 

 

タッチの重さについて

今回は、タッチの重さについて書いていこうと思います。

ピアノには「アップライトピアノ」「グランドピアノ」の2種類あります。

見た目や構造など全く違うこの2種類のピアノ、両方弾いたことがある方はお気づきかと思われますが、この2種類タッチの重さが全然違うのです。

グランドピアノのタッチは軽く、アップライトピアノのタッチは重いと感じたことがあると思われますが、ではなぜ、タッチの重さが違うのでしょうか。

「アクションの作りが違うから」、という答えが大半だと思うのですが、今回はアクションではなく、鍵盤に注目してみたいと思います。

「え、鍵盤、両方とも同じでしょ。!」と思われている方、実は、グランドピアノとアップライトピアノの鍵盤は違うのです。

作りは使われている素材は同じです、では何が違うのか?

それは、鍵盤全体の長さです。

グランドピアノの鍵盤の全長よりもアップライトピアノの鍵盤の全長の方が短いのです。

「え、いやいや、見比べても同じですよ!」と思ったそこのあなた、あなたはまだ鍵盤の真の姿が見えてはいないのですよ。

通常、ご家庭やホールに設置されているピアノはすでに外装が組まれている状態で設置されているため見ることが出来ないのですが、1年に1度、もしくは半年に1度ピアノから外装が外される時があるのです。それは、家に調律師の方が調律に訪れた時です。なのでみなさん、調律をしましょう。

ピアノの調律、整調というのはピアノ内部のアクションをいじるために外装を取り外さなければいけません。この外装が取り外された瞬間、鍵盤の本来の姿が表に現れるのです。

中にはピアノの心臓であるアクションそして、銀に輝くたくさんの弦が張られているので、一度、調律師の方が外装を取り外しを行ったあと一緒に内部をのぞいてみるのもピアノを弾かれる方にとっては良い経験になるのではないでしょうか。

この時に、調律師の方にたくさん質問してみてもいいかもしれませんね。調律師はピアノ専門のお医者さんです。なのでなんでわかりやすく教えてくれると思いますよ。

さて、鍵盤にお話を戻しましょう。

外装が外れたこの時、実は鍵盤も1本ずつ外れるように作られています、なので鍵盤を1本手に取ってみましょう。鍵盤の全長がわかるはずです。

思っていたよりも長いでしょう。

皆さんがよく目にする白鍵、黒鍵の部分、あれは鍵盤の一部分にすぎないのです。見えている部分よりも隠れている部分の方が鍵盤は長いのですよ。

ここから少し「タッチの重さ」のお話から、「鍵盤の動きについて」のお話になります。

皆さんがピアノの音を出すときに、鍵盤の手前を打鍵して音を出していると思われます。

鍵盤の動きを簡単にご説明しますと、公園の遊具で見かけるシーソーを思い浮かべてください、あれは真ん中が固定されており、片方が地面に近づくにつれてもう片方が持ち上がるという仕組みになっています。

みなさん、学生時代の理科の授業で、「支点」「力点」「作用点」という「てこの原理」というのを習ったのではないでしょうか。実は鍵盤にもこのてこの原理が使われているのです。

シーソーの場合は、「支点=真ん中を固定している部分」「力点=皆さんが座る部分(簡単に言えば力が加わる部分)」「作用点=力を加えたときに動く部分(この場合は自分が座っている反対側の部分)」になります。

鍵盤の場合は、「支点=バランスピン(通常は見えません)」「力点=フロントピン(皆さんが打鍵する白鍵、黒鍵部分)」「作用点=鍵盤奥のアクションを持ち上げる部分(ここも見えないところです)」という感じで動きます。

ちなみに、打鍵する鍵盤側をフロント、力点になる真ん中をバランスと呼びます。なのでフロントに刺さっているピンなのでフロントピン、バランスに刺さっているピンなのでバランスピンと呼ばれています。

ちなみに、鍵盤を打鍵して次を押そうとしたのに上がってこない(;゚Д゚)といった症状に見舞われた方多くいられると思います。この原因は、鍵盤とピン(とくにフロント)そして湿気が関係しているのです・・・っとこのお話はまた次回。

「ここで、次回予告【ピアノと湿度の関係について。さあみなさん、多湿に負けるな!】」をお送りいたします。お楽しみに。」

さて、話を戻します。

ではここから、タッチの重さと鍵盤の長さの関係についてお話をしていこうと思います。

まず、簡潔に答えを言いますと、鍵盤が長ければ長いほどタッチは軽くなり、短いと重たくなります。

ちなみに鍵盤の長さは、ピアノのサイズに比例します。例えば、YAMAHAの一番小さいサイズのグランドピアノC1よりもC3の方が鍵盤が長くなります。したがって、5<6<7<CFXといったように、ピアノのサイズが大きくなるにつれ、鍵盤の長さが長くなります。なのでもし、どのメーカーのフルコンサートグランドピアノでもいいのですが、弾ける機会があるときは1度は弾いてみた方がよいですよ。タッチが全く違うので。

ではなぜ、鍵盤が長いとタッチが軽くなるのか?

↑上記の説明をするにはまた、理科の内容になります。ちなみに、私は理数系が苦手なのであとはみなさん、今の世の中ネットの時代、ググれば答えが出てくるはずです。

がんばってください。

 

今回の総まとめ

・アップライトピアノ=鍵盤が短い=タッチが重い

・グランドピアノ=鍵盤が長い=タッチが軽い

タッチが軽いピアノの順番

スタンダード型アップライトピアノ<家具調(インテリア)ピアノ<グランドピアノ<フルコンサートグランドピアノ

といったかんじでしょうか。

 

では、また次回・・・お会いしましょう。

 

 

 

ピアノの乾燥

12月も下旬に入り本格的に寒くなってきました。各地で雪が積もって大変苦労されているところもあるとか。

今回は寒くなってきたこの時期、人にもピアノにもあまり喜ばしくない乾燥についてお話をしていきたいと思っています。

日本各地では大体11月中旬からが人にとって寒いと感じる気温になってくると言われているそうです。そんな寒いと感じるようになってくると、その寒さと同じようにやってくるのが、「乾燥」になります。人にとって乾燥は非常に厄介な存在になってしまいますよね。例えば、乾燥によって肌トラブルが起きたり、空気が乾燥すると風邪ウイルスが活発化したりとかいろんな問題が起こります。

人にとって乾燥が敵なように、ピアノにとっても乾燥は非常に厄介な敵になります。

皆さん、ピアノの最適な湿度は何度かご存知でしょうか?・・・・・・・・・・答えは「約50%」です。

ではもし、湿度が50%より下回ってしまうとどうなるのか、なぜピアノは湿度の影響を受けやすいのか、などを話していこうかと思います。

ではまず

Q. なぜピアノは湿度の影響を受けやすいのか?

A. ピアノというのはほとんど木材を使って作られています。この木材が湿度の変化に大きく影響を及ぼします。木は空気中の水分量の影響をもろに受けてしまいます。例えば、水分量が多い(多湿状態)と、吸収し膨張したりします、逆に水分量が少ない(乾燥状態)と、木材は水分が抜けて痩せてしまいます。このような状態がピアノにも起こってしまうのです。

Q. 湿度が50%より下回ってしまうとどうなるの?

A. 適切湿度を下回ってしまうと、色々な問題が発生しますが、大まかに答えをまとめると、非常に変な音が出る弾きにくいピアノになるということです。

では、どのような問題が生じるのか。

発生問題① アクションの動きがガタガタになってしまう ←タッチが悪くなる

発生問題2 調律が狂いやすくなる             ←綺麗な音がバラバラに

発生問題③  木材が反ったり、割れたりしてしまう      ←響板や駒が割れたら最悪です

上記のような問題が発生してしまいます。

このような乾燥を防ぐにはどうしたらいいのか?

1番いいのは加湿器を置くことです、

ピアノにある加湿器の条件としては

①. ピアノを設置している部屋の大きさに適応しているか ←部屋が小さいのに大きい加湿器を買うと今度は多湿になってしまう場合があります

②. 湿度設定が可能か                   ←50%になるように自動でスイッチが切れたり入ったりするタイプがあれば一番いいですね

③. 蒸気が出ないやつがいい                ←蒸気がピアノにかかりすぎると最悪です

上記の3つをクリアしていれば

ですが、加湿器を買うまでは・・・という方にはバケツに水を入れてピアノの近くおいてみてはいかがでしょうか(水は大体半分より下ぐらい)。←結構効果あり

 

カシュー塗料のピアノについて

皆さんは、カシュー塗料というのをご存知でしょうか?

では、カシューナッツという名前だと大体の皆さんは聞いたことがあるのではないでしょうか。整腸作用があり、ダイエット効果や美肌効果がある食べ物です。

カシュー塗料というのは、カシューナッツの殻から絞り出した油が原料に使われている塗料になります。この塗料が使われているピアノを磨く際には非常に大変です。

ピアノの塗装には、時代によって使われている塗料が異なっています。現在のピアノは「ポリエステル」という塗料が主流となっています。

※ちなみにポリエステル塗料は、「不飽和ポリエステル樹脂塗料」というのが正式名称になります。ピアノの他にも、安価なギターやベースに多く用いられている塗料です。

その他にも、ラッカー塗料や漆塗料、ニス塗料、カシュー塗料などといった塗料で塗装されているもあります。世に出回っているピアノのほとんどはポリエステルもしくはラッカー塗料で塗装されているのが多いです。

その中でも、ラッカー塗料で塗装されているピアノは厄介です。何が厄介かというと、磨き作業を行うときが非常に大変です。何が大変かというと、ポリエステルやラッカーで塗装されたピアノを磨く際、コンパウンドという研磨剤を使用し磨くとピアノの外装の曇りがキレイとれて鏡面の状態に戻ります。しかし、カシュー塗料を磨くときにコンパウンドを使ってしまうと、コンパウンドをつけたところがシミになってしまい、どれだけバフという機械で磨いても落ちなくなってしまいます。さらには、カシュー塗料というのは時間が経つにつれて油が抜けてしまうので鏡面で仕上がっていたはずのピアノが全体的に白っぽく曇ってしまいます。さらに、手でピアノに触るだけで手の跡が残ってしまうという状態になってしまいます。このような状態になったら最後、磨くのがとても大変です。艶を戻す方法(もう一度油を含ませてあげることで艶を戻す方法があります)はあるのですがそれでもラッカーやポリエステルのピアノを磨くよりもたくさんの時間を使ってしまうので、作業効率が悪くなってしまいます。(私自身の知識不足で、もしかしたらもっと簡単に艶を出す方法があるのかもしれませんが・・・)。

今後ありとあらゆるピアノに対応できるように、私自身の知識を増やしていきたくさん経験を積んでいこうと思う今日のこの頃です。

販売用ピアノの磨き作業

これから販売予定YAMAHA U1Hのピアノを磨いています。

最初は全体的に白っぽく汚れていたピアノがバフという機械を使って磨いていくうちにだんだんと綺麗になっていくのがわかり、かなり綺麗になりました。

   ←まるで鏡のように仕上がりました。(大変満足)

    磨き前↓         磨き後↓

 

ペダルも綺麗になりました。金属を磨くとき、最初の状態からだんだんの輝きが戻っていく時って、とても気持ち良くなるのがとてもいいですね。

 磨き前↓          磨き後↓

  

私はこれまでに何台もピアノの磨き作業を行ってきました。これまでの経験で磨く作業もだんだんとスピードupして効率よく作業が行えるようになったのではないかかと思われます。

やはり人は汚れているものが綺麗になっていくのを見ているととても清々しい気持ちになりますね。

このピアノは、巻線が切れているためこれから全巻線の交換と整調と調律を行っていきたいと思います。

 

プレゼントピアノの修理と整調、調律

「チャレンジャー:アップライトピアノのプレゼント企画」にてプレゼントとしてご用意しましたピアノのアクションの修理と整調そして調律をすべて行いました。1台まるまるのアクションの修理や整調などいままでに片手で数えられるぐらいの数しか行ってきませんでしたが、私が今持っているすべての技術をこのプレゼントピアノに注ぎました。

私は断言します。「このピアノは良いピアノに仕上がった」と。

私は、1台1台のピアノを常に100点満点中100点になるようにこれからもたくさんの努力を怠らずにしていこうと思っています。

ホームページ内の「色々やってみた」という項目にてこのプレゼントピアノの修理や整調、ピアノの構造の解説などを行っている動画をアップしていますので、そちらも見ていただけるとうれしいです。

この動画をきっかけによりたくさんの人にピアノという楽器について、詳しく知ってもらえたらと思っております。